名立寺〈新潟県〉 ― 大蛇から奥さんを守った赤猫

猫と大蛇
プロフィール
この記事を書いた人

ねこ様をこよなく愛する博士(獣医学)。生まれてから今まで、ずっとねこ様と生活を共にしている。仕える愛猫は保護猫出身のスゥ(♀)とマイル(♂)。日本で最初にカリカリを製造販売した大手ペットフードメーカーの研究所に所属。同社に入社後、動物栄養学の権威とされるイリノイ大学のKelly S. Swanson博士の下に2度にわたって留学し、日本獣医生命科学大学大学院研究生を経て博士号を取得。専門は猫の栄養学。現在は同社に勤めながら、日本獣医生命科学大学動物看護学科の特別研究生として、ねこ様の感じるおいしさについて研究している。専門とする猫の栄養学のみならず、日本各地の歴史の中に埋没した猫伝承を掘り起こし、科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報発信をしている。

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  • 宗派:曹洞宗
  • 住所:新潟県西頸城郡名立町大字名立大町270
  • アクセス:日本海ひすいライン 名立駅より徒歩5分

猫龍寺の伝説

日本海を眺めるこの寺は、別名「猫龍寺(びょうりゅうじ)」とも呼ばれ、古くから猫と日本人が深い絆で結ばれていた伝説が残っています。こちらの伝説をご紹介しましょう。

猫と大蛇

昔、名立の地に長者夫婦が住んでいた。たくさんの船と土地を持ち、たいそう栄えていたそうだ。その夫婦の下に、一匹の年老いた大きな赤猫が飼われていた。この猫は奥さんに大変懐いており、奥さんが井戸へ向かう度、飛びつくようについてきた。その様子を見て、奥さんも赤猫を大変かわいがっていた。その様子は使用人たちが「奥様と猫は情を通じている(恋愛関係にある)」と噂するほどだった。

この噂を聞いた嫉妬深い主人は激怒し、奥さんの脇で丸くなっていた赤猫に一太刀切り伏せた。赤猫はよろよろとした足取りで井戸へ近づき、中へ落ちていった。

すると、井戸の中で轟音が響いた。何事かと覗いてみると、一丈もある大蛇が苦しんで暴れていた。蛇の喉には赤猫が必死に食らいついていた。赤猫は最後の力を振り絞って井戸に住む大蛇を退治したのだった。

赤猫が大蛇から奥さんを守っていたことに気付いた主人は大変悔み、屋敷内に堂宇を建てて猫を祀り、ねんごろに供養した。現在、長者の家は滅亡したが、名立寺に代々尼僧が住み、霊を弔っている。

火災により失われた堂宇(殿堂)

この伝承を伝える堂宇や井戸は宝暦12年(西暦1762年)11月1日、昭和8年(1933年)9月30日の二度にわたる火災によりすべて失われてしまいました。歴史の生き証人となる遺物は赤門を残すのみでありました。

<名立寺の歴史>

寺の歴史は古く、今から約600年前に月桂立乗和尚によって開山されました。本寺は長野県更級郡牧田中村の興禅寺。一時廃寺となり荒れていましたが、永正17年(西暦1520年)4月17日に本寺五世の仲翁順興和尚によって再興されました。 名立寺の赤門は加賀百万石前田家とのつながりを今に伝えています。この赤門は東京大学(前田家上屋敷より移築)、仙台大崎八幡宮(伊達政宗造営)に並ぶ前田家ゆかりの三大門の一つで、参勤交代の折、名立寺が本陣とされた際に建立されたと伝わっています。

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